鈴木理策「熊野 雪 桜」

鈴木理策 熊野、雪、桜

鈴木理策 熊野、雪、桜

東京都写真美術館の個展「鈴木理策 熊野、雪、桜」の公式カタログとして刊行された本書は、熊野、桜をテーマにした代表的な連作と、雪をモチーフにした新作<White>から約80点を収録し、作家の継続的なまなざしを紹介するものです。(帯より)

熊野の写真、穏やかな水面や、滝や、芝生や、岩。雪の写真、十勝岳で撮影されたという雪は背景にわずかな樹木が見える場合を除き白い模様である。白い模様はページをめくるうちにピンクの模様に変わり、いつのまにか「桜」の写真となっている。
鈴木理策は「熊野」「雪」「桜」の他にも、「恐山」や、セザンヌが描いたことで知られる「サント・ヴィクトワール山」などを撮影している。それらは皆、「聖地」ないしか「聖なるもの」である。だけど僕は、鈴木理策は「聖なるもの」に何かしらの拘りがあるわけでは無いと思う。ティルマンズがコンコルドを媒体に別のモノを写していたように、それは唯の被写体に過ぎないと。