5歳くらいのことだと思うが、両親に連れられて道を歩いている時、足が不自由で歩き方のおかしい人とすれ違った。僕は単純な好奇心からその人をじっと見ていたところ親に怒られた。「じろじろ見るんじゃありません」て。で僕はその怒られた理由が分らなかった。いや、親の言いたいことは当時の僕にも分っていた。「儀礼的無関心を装いなさい」ということだろう。でもそれは当時の僕には納得できなかった。今の僕には納得できる。それは単純に、僕が世の中や、人間関係というやつに臆病になったからに過ぎない。僕は大人になって、子供の頃よりずっと、他人の気持ちが分らなくなった。