読書

図書館でさそうあきらトトの世界」を借りた。生まれてからずっと監禁され犬と一緒に育てられてきた”野生児”が言葉を学んでいく物語で、「嗅覚」や「味覚」といった本能に近い世界と、言葉という人間にしかわからない世界とを比較しようという試み。さそうあきらは他にも「神童」で聴覚、「1+1は?」で視覚をモチーフにして描いていて、5感を切り口に人間とは何なのかを試行錯誤する一環だと思う。物語としても練られていて面白い。一気に読んでしまった。あえて難を言えば、面白いキャラがたくさんいるのだが、たとえば書道家の浮浪者が居るのだが、その経歴的な部分が全然描かれていなくて謎だったりとか、校正を仕事にしている人が準主役級のポジションにいて、彼は「言葉の世界」の住人の代表なはずなのにイマイチそのポジションが生かされてないのが弱かったりとかそんくらい。さそうあきらは大好きです。鳥山明の次くらいに。